私は着物をリメイクしたハンドメイド作品を販売しています。特に夏はシルクの着物をリメイクしたワンピースを着るのが気持ちがよいですよね。しかし、着物は長年の防虫剤やカビ臭さがついていて、なかなか取れないことも多いです。たくさんの着物をリメイクしてきた私が着物の匂い取りで効果のあった方法をご紹介します。
着物ハンガーで風通しの良い場所に干す|基本中の基本!
まず最初にするのは「陰干し」です。
これは着物の匂い取りのもっとも基本的な方法ですが、いくつかコツがあります。
- 着物ハンガーに掛けて、風通しの良い室内や軒下に1日~3日ほど干します。
- 直射日光は避けること。色褪せや生地の劣化を防ぎます。
- 夜間に干すと◎!
夜の空気は湿度が高く、着物が水分を吸ってから吐き出す過程で匂いも一緒に抜けやすいのです。ただし、雨や湿度の高い日は逆効果なので、天気予報を確認してから行いましょう。
2日目の夜に明らかに防虫剤のツンとした匂いが軽減し、3日目にはほとんど気にならなくなっていました。
重曹でやさしく消臭|安心・安全なナチュラル法
まだ匂いが気になるときに行うのは重曹を使った方法です。
100円ショップなどで手に入る重曹は、消臭と除湿にとても効果的。
- お茶パックなどの不織布に重曹を入れ、着物と一緒に紙袋や衣装ケースに入れて密閉。
- 2〜3日そのまま置いておく。
私は、重曹にラベンダーの乾燥ハーブを少し混ぜてほんのり香りづけしました。
着物に直接触れないように工夫すれば、生地も傷みません。
お茶の葉を使う|意外な“和の消臭剤”
昔ながらの知恵として、乾煎りしたお茶の葉にも強い消臭効果があります。
リメイクする前だけでなく、まだ着物として着たい場合にも活用できます。
- フライパンで煎ったお茶の葉を冷ましてから、和紙や半紙に包む。
- 着物の上に置く or 衣装ケースに一緒に入れて、2〜3日保管。
※直接生地に触れると色移りのリスクがあるため、必ず紙で包むのがポイントです。
お茶の葉のやさしい香りがほのかに移り、私自身とても気に入りました。特にお茶文化が好きな方にはぴったりの方法です。
新聞紙・炭で湿気とにおいを吸収|コストゼロで即実践
祖母の家でもよく使われていた、新聞紙と炭のコンビ。
私は竹炭を使いましたが、活性炭でもOKです。保管する時にも入れておけば、カビ予防になります。
- 衣装ケースの底に新聞紙を敷き、着物を重ねる。
- 隅に竹炭(不織布に入れる)を配置し、ふたをして数日間保管。
湿気と匂いを同時に吸収してくれるため、梅雨時や冬の保管にも大活躍。
防虫剤のにおいもかなり軽減されました。
無香料の置き型消臭剤を使う|部屋の消臭剤が役立つ!
「どうしてもすぐににおいを取りたい!」という方におすすめなのが、無香料の置き型消臭剤を使う方法です。
- 着物をたたんで大きめのビニール袋に入れる。
- 無香料の消臭剤(ジェルタイプなど)を一緒に入れて密閉。
- そのまま2〜3日保管し、匂いの変化を確認。
私は2回繰り返しましたが、確実ににおいが薄くなりました。
注意点として、香り付きのものは着物に匂いが移るのでNG。必ず無香料を選びましょう。
扇風機・ドライヤーの風で“におい分子”を飛ばす
最後に紹介するのは、風の力で匂いを揮発させるテクニック。
ドライヤーの冷風と扇風機を使用しますが、衣類スチーマーや空気清浄機も併用する方法もあります。
- 大き目のビニール袋に、着物をほぐした状態で入れます。
- ビニール袋の角を一つカットして、空気の抜け道を作ります。
- ビニール袋の口からドライヤーを差し込み、冷風をかけます。
- 中の着物にまんべんなく風が当たるように、時々袋を振ります。
自然に風通しをするのではなく強制的に風を当てるイメージですね。
これは「リメイク後に匂いを感じたときの応急処置」としてもおすすめです。
着物を水通し・手洗いでリフレッシュ
着物は洗うと縮みます。でもリメイクして洋服にした後はお洗濯しますよね?リメイクする前に着物も洗って縮ませておいた方が、洋服にした後に縮んでしまうという失敗を防ぐことができます。
- 着物をほどき、布の状態にします。
着物のまま洗うと、中に縫い込まれている部分が色が変わってしまいます。 - ぬるま湯に中性洗剤を溶かします。
重曹をプラスするのもいいです。 - 何度かすすいで、絞らずタオルに包んで水気を取る。
- 陰干しで干す。
直射日光に当てると色が黄色くなります。
(普段から乾燥機を利用する場合は、この時にも乾燥機で乾かしてください。そうしないと、洋服にしてから乾燥機で乾かした時に縮みや思わぬハプニングが起こることがあります。)
- 油性の柔軟剤などの匂いを取るには、食器用の洗剤の方がいいそうなので、なかなか匂いが取れない場合は食器用の洗剤を試してみましょう。
- 洗濯後はまだ匂いが残っていても、風通しの良いところで干すことで匂いも取れていきます。乾いた後も数日干しておきましょう。
- 素材の性質が不明な場合は、端切れでテストするのが安心です。
リメイク前に洗っておけば、縫ったり試着したりするときの匂いやダニの心配もなくなり、気持ちよくリメイクできますね。
プロの着物クリーニング店に相談|最後の砦!
何をやっても取り切れない匂いが残る場合は、着物専門のクリーニング店に相談しましょう。
呉服屋さんでは「洗い張り」と「丸洗い」があります。一般のクリーニング店でも「丸洗い」はできます。違いを見てみましょう。
着物の「洗い張り」とは
着物を一度ほどいて反物の状態に戻し、水洗いでしっかりと汚れを落とす伝統的な方法です。
水溶性の汚れやカビ、ひどいシミにも対応でき、生地の風合いも蘇ります。しかし、反物の状態でかえってきて仕立て直しが必要となるため手間と費用がかかります。
着物の「丸洗い」とは
着物をほどかずそのままの形で石油系溶剤を使って洗う方法で、洋服のドライクリーニングと同じ仕組みです。
手軽に利用でき、油溶性の汚れを落とすのに適していますが、水溶性の汚れやカビには効果が薄いです。
- 「丸洗い」コース:約8000円
- 納期:2週間ほど
- オプションで「防虫剤のにおい取り」も指定
しっかり伝えれば、においの元(樟脳など)に応じて処理してもらえます。

私はクリーニングでも洗えないと言われた本革と帆布を使ったバッグがあったのですが、個人店のクリーニングで匂いが気になることを相談したところ「バイオ洗浄」をいうものを勧められました。
バイオの力で除菌・消臭するというもので、500円で匂いもかなり気にならなくなりました。
着物の匂い取りの失敗・注意点
私は着物をリメイクしたハンドメイド作品を販売しているので、中古の着物をよく購入します。
着物の中古販売店やフリマサイトで購入することもあります。実際に手に取って見られる場合はいいですが、フリマサイトでは匂いまではわかりませんよね。
届いて開けてみたら、防虫剤やカビ臭さに「うっ・・・」となることもあります。
そんな時はまずすべての着物を着物用ハンガーにかけて陰干しします。そうすることで、匂いだけでなく湿気を飛ばし、これから保管する時にカビが生えるのも予防できます。
それから、上記に書いたように活性炭やお茶の葉を入れた衣装ケースに保管します。
そしてリメイクする時には解いて洗ってから作品つくりをします。
しかし、今までに以下のような失敗もありました。
- 洗ったら生地が固くなってしまった
縮緬の生地は縮んで固くなってしまいました。 - 帯を洗ったら色が落ちて、全体ににじんでしまった。
- 匂いが取れるまで洗ったら、色も抜けてみすぼらしくなってしまった。
特に黒やえんじなどの濃い色は色が抜けやすいです。 - 刺繍のある着物は洗ったら刺繍の部分だけ縮まずに、しわになってしまった。
そのため、今ではこのように対策しています。
- 色の濃い着物は普段着には使わない
- 色の濃い着物はリメイクした後にクリーニングに出す
着物はもともと洗濯するようには作られていないので、そのことを理解したうえで着物リメイクを楽しむようにしています。
まとめ|着物の匂い取りは、リメイクの第一歩
着物リメイクは、思い出を残したり、あるものを活用できる素晴らしい取り組みです。
でもどんなに素敵な作品に仕上がっても、不潔そうな匂いやキツイ匂いがしていたら魅力は半減してしまいますよね。
今回ご紹介した方法は、自宅でも無理なく試せるやさしい方法ばかりです。
あなたの着物も、ひと手間かければ新たな命を吹き込めます。
匂いを取り除いた先にある、あなただけの美しいリメイク作品に、ぜひ出会ってください。
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